業績管理システムは、組織戦略と目標達成だけでなく、ハイパフォーマンス文化の構築の基盤となる不可欠なものです。日本の企業でも欧米の企業でも、業績管理システムを課題と認識している企業は多いので、どちらのしくみがよいかという議論は行いませんが、業績管理のしくみを効果的にするための成功要因をご紹介します。
まず初めに、業績管理システムでよく聞かれる問題点は、「社員が評価に納得できていない」、「やる気が上がらない」、「今後のパフォーマンスの向上に結び付いていない」などがあります。しかしこれらの問題は、社員の主体性とやる気を高めながら組織の業績を高めるために、P.ドラッカー氏が1954年に説いた目標管理/MBOの本来の目的や原則にそぐわないものです。
それらの問題の原因の多くは、(1)マネージャーとの信頼関係の欠如、(2)ゴールや基準の不明確さや納得感のなさ、(3)制度が理解されていない、または意図されたように運用されていない、などがあります。業績管理のしくみを効果的なものにするためにはこれらの原因を取り除くことが近道です。ということで、最低やるべき3つのポイントをご紹介します。
- 明確で納得感のあるゴール、評価基準と業績管理システムのメカニズム:まずは、制度の正しい目的と運用方法を明確にし、全員に理解してもらうことです。次に、ゴールと評価基準を明確にし、透明性を高めます。また、納得性を高めるには、P.ドラッカーのMBOの原則にのっとり、社員主体で目標を考え、マネージャーと協働しながら設定することです。上から与えられた目標では、社員のやらされている感が高まるだけです。更に、評価に関しては、個人の納得感を高めるためには、社内外のステークホールダーからの360度評価はたいへん効果的です。但し、しくみ/システムはシンプルにしておきましょう。
- 組織のミッション、バリュー、ビジネス戦略、人事/組織制度との連動性:成果とやる気を同時に高めるには、組織のミッションやビジネス戦略と個人の業績目標を連動させることが必要です。業務の羅列ではなく、組織ミッションやビジネス戦略につながる重要な仕事に焦点を当てることがポイントです。評価項目には行動/能力も入りますが、それらが、組織の求める人物像やコンピテンシーと一貫性を持ち、評価の結果が次年度の能力開発プログラムに連動されていることも重要です。
- 信頼されるマネージャー:いくら制度が整っていても、信頼できないマネージャーからの評価には、納得感を感じられませんので、マネージャーはメンバーからの信頼獲得をしなくてはなりません。ここでの人事部門の役割は、管理職のビジネス構築力やコミュニケーション能力だけでなく、マネジメント力とリーダーシップ力も高め、管理職の部下育成に対する責任を持たせコミットメントも高めていくことです。これが実際、業績管理システムの問題の大きな原因となっていますので、着実に行ってください。
上記を行えば、業績管理システムは効果的に機能します。是非、現在の問題と根本原因を見直し、最重要なところから改善や変革を行ってみてください。
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